五高出身の森田正馬が創始した、神経症の森田療法

2019/01/26

  『森田療法と熊本五高-森田正馬の足跡とその後-』の本を、昨年12月末に刊行しましたが、事実上、本年の年頭を飾る出版となりました。森田療法が1919年に創始されたとすると、2019年の今年は、森田療法創始百年の記念すべき年です。
  森田正馬は、高知の出身ですが、旧制熊本五高に3年間在学し、剛毅朴訥のその風土で青春を謳歌する中で精神医学を志したのでした。ここに森田療法への萌芽があったと言えます。
  熊本での森田正馬の生活には、これまであまり光が当てられてきませんでした。
  加えて、「生活の発見会」を創成した森田の重要な直弟子、水谷啓二も五高出身でしたし、さらに、日本の社会教育の初期の発展に重要な役割を果たした、田澤義鋪、下村湖人、永杉喜輔の3人もまた五高出身者だったのであり、その社会教育の流れが、水谷と合流して、「生活の発見会」の活動が大河となっていったのでした。
  今回出版した本には、五高と森田療法をめぐる多彩な内容が収められています。
  このような本書の出版について、熊本日日新聞が注目し、編者代表の熊本大学藤瀬昇教授へのインタビューを、去る1月16日の夕刊に掲載してくれました。その記事を閲覧して頂けるように、リンクをつけておきます。
 
新聞記事(熊本日日新聞2019年1月16日夕刊より)
 
  なお、同じ内容の記事が熊本日日新聞社のホームページにも、「神経症治療の創始者の足跡をたどる 藤瀬・熊本大保健センター長ら出版」と題して掲載されていますので、ご紹介しておきます(下にリンク)。
 
神経症治療法の創始者の足跡たどる 藤瀬・熊本大保健センター長ら出版

『森田療法と熊本五高―森田正馬の足跡とその後―』出版の再紹介―京都の片隅から―

2019/01/11




 
  『森田療法と五高―森田正馬の足跡とその後―』の本が、昨年12月25日付けで出版されましたので、改めてご紹介します。
  一昨年秋、熊本大学で、「森田療法と五高」をテーマに、藤瀬昇教授を大会長として、日本森田療法学会が開催されました。それを機に、関連するいくつかの珠玉の原稿を学会後に集めて、一冊の本として編んで出版したのが、この本なのです。
  ご縁を得て、編集の末端に関わらせて頂きましたが、さまざまな原稿を一冊の本にまとめる作業は、それは大変で、中心におられる藤瀬教授の地道なご苦労は、筆舌に尽くし難いものでありました。それだけに、熊本五高と森田正馬や森田療法について、このような類書のない本を上梓できたことは、私たちの喜びとするところです。

 五高在学中に森田正馬は精神医学への道を志した。剛毅朴訥の純なる風土で、森田療法への芽が吹いた。療法を継承して「生活の発見会」を創成した水谷啓二。水谷に合流した社会教育の下村湖人や永杉喜輔。何という巡り合わせ。彼らも皆、五高出身者であった。正馬の故郷は高知だが、森田療法の故郷は熊本である。

  おもて表紙の帯の部分に、本の主旨や中身を示す案内文を載せていますので、その部分を切り取って上に再度掲げました。
  下の画像は、目次ページです。著者たちと執筆された原稿のタイトルがわかります。



  京都の片隅より、くまモンに愛をこめて―
  裏表紙にくまモンの図をあしらうことを提案させてもらいました。



  この本は、アマゾンで購入していただけます。
  熊日出版のネット販売のサイトからも、購入できます。
http://shop.kumanichi-sv.net/shopdetail/000000001320

謹賀新年 Bonne Année !

2019/01/01




 
  明けましておめでとうございます。
Bonne Année !
平成から次の新しい時代を迎えるこの2019年が、皆様にとってしあわせな年でありますように祈念いたします。
 
  早いもので、この研究所も開所して7年が経ちました。その間、こつこつ細々とやってきましたが、力量や努力が足りず、いくつかの目標をなかなか達成しきれないでいます。
  昨年は、熊本大学の藤瀬教授を中心とする『森田療法と熊本五高―森田正馬の足跡とその後―』の出版が主な課題でしたが、お蔭をもって、その本はようやく昨年末に日の目を見ました。
  さて今年は、一旦保留していた大きなテーマ、“ 森田療法と仏教 ・ 禅 “について、まとめを終えることが重要課題になります。どうぞご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。
 
  当研究所の目指すところは、三つの課題としてこのホームページの冒頭に掲げている通りです。第一に森田療法の温故知新、第二に学際的研究交流、第三に日常生活の中での知恵です。これらは、難しいですが重要なことだと思っています。強いて言えば、第四に森田療法の国際交流がありますが、まずは地に足を着けることが大切ですから、国際交流を理念として掲げてはいません。ところが奇妙なことに、以前からの縁もあって、日仏交流を続けています。でもそのような国際交流も、本家の日本国内において、森田療法そのものが「照顧脚下」の歩みを進めていないと、決して実が上がらないことを痛感させられます。そんな訳で、今年もこつこつと地道に進みたいと思います。
  皆様方と通じ合うところがありましたら、いつでも、何でも、気軽にご連絡下さい。意見、助言、質問、疑問、批判、ぼやき、嘆き、などなど。どうぞご遠慮なく、ご自由に、メール(通信フォームがメールになっています)、ファクス、電話もありますが。ご自由にどうぞ。
  勉強会、研究会などの集会の定期的開催をたびたび企図しましたが、当節その種の会があちこちで有り過ぎるので、無理な定期的開催はせずに、随時ご縁のある方々と交流しています。もっと何を企画すればよいか、提案も受け付けています。
  それでは、今年もまたよろしくお願いします。
 

平成31年元旦                                    

                                    京都森田療法研究所

                                                                          主宰者 岡本 重慶

                                                                    研究員 一同

                                                                    協力者 一同