謹賀新年(令和6年)

2023/12/31

 

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新 年 の ご 挨 拶

 
 明けましておめでとうございます。
 新しい年が、皆様にとりまして、幸多き年でありますよう祈念いたします。
 
 京都森田療法研究所の主宰者(岡本重慶)にとっての森田療法は京都生まれ、京都育ちでした。その思いで2012年からこの研究所の活動を始めて、12年が経ちました。京都駅近くのリアルな場所に10年間、事務所を置いていましたが、コロナ禍でやむなく、2年前に主宰者の居所(京都に近い大津市内)に事務局を移転しました。その後も、京都森田療法研究所として静かに活動を続けておりますので、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 
 また、2024年の今年は、2014年の暮れに三聖病院が閉院してより、10年になる年です。光陰矢のごとし。あの時の出来事が、昨日のことのように思い出されます。10年を経た今年、三聖病院の森田療法を振り返り、見直してみることも、最後まで関わった者としての使命であろうと心得ます。
 
 主宰者も高齢になりましたが、引き続きご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。

拝具  

 

令和6年元旦           
京都森田療法研究所    
主宰者   岡本重慶
研究員   一同  
協力者   一同  

 

森田療法的人生のために―京都森田療法研究所からの発信―

2023/01/16

 

京都森田療法研究所からの新春のご挨拶

 

 私のことを、森田療法評論家だとおっしゃる向きがあったようです。自分自身はどんな臨床をやっているのだ、とも言われていたようでした。
 既に廃院になった三聖病院に勤務していた頃は、院長がピラミッドの頂点におられ、私たち、他の医師たちは入院患者さんらと関わっても、副主治医のような立場の域を出ませんでした。そんな日の当たらない役割にひたすら徹することが、森田療法の実践なのであろうと心得て、その立場をまっとうしました。日陰の副主治医の立場にいると、院長の不問の処遇の下で、無視されている生身の患者さんたちのあえぎが伝わってきたものです。副主治医の医者だからこそ、身近で受け止めることになる人々の苦悩が感じられました。それは神経症の症状のことよりも、生きていることそのものの苦しみであり、存在の苦で、それは治療するというにはおこがましく、人間同士として共有することしかできないものだったのです。三聖病院は暗い病院でしたが、あの暗さは何だったのか。一見、透明感の漂う「あるがままの世界」の底辺には、深くて暗い部分があり、前進できない人たちの苦悩が澱のように溜まっていたのです。院長が住んでいる「あるがままの世界」の住人たりえず、死神に憑かれたような人たちが存在する場所である病院に勤務して、彼らの呻吟を聞いていた医者にとっては、三聖病院は実に暗い病院だったのです。患者の呻吟に対して、電気ショックという方法もあったのでしょう。しかしそんな芸もない医者は、ただ聴いて共感し、四苦八苦を生きねばならないということを、治療者自身としても身にしみて感じるほかなかったのでした。
 あいつ(岡本)は三聖病院でどんな臨床をやっとったのや、と言われていたらしい自分として、以上がその答えなのです。そしてこれもまた森田療法ではないかと言いたいのです。光を求めながら共苦する、それこそ森田療法でしょう。患者はつらいよと言われるだろうが、治療者もつらいよ。それが治療者にとっての森田療法なのです。
 しみじみそんなことを考えています。
 そんな心境にもつながる、自分の今年の年賀状を、PDFでご披露します。
 皆様にとって良いお年でありますよう、祈念いたします。
   岡本重慶

 

年賀状

事務局移転のお知らせと今後へ向けて

2022/03/07


<事務局移転のお知らせと今後へ向けて>
 
 
当研究所の事務所は、都心部の下京区の京都駅正面に居を定めてきました。東京から、九州から、あるいはどこからでも訪問して頂きやすい便利な場所です。
しかし、コロナ禍が続く中で、オフィスの場所としては、都心部であるがゆえの不利に直面せざるを得なくなっておりました。主宰者自身も、居住地と事務所の間を行き来するにあたり、不便を覚えています。そのため3月末をもって、事務所は京都駅正面の場所から、転出します。
さしあたり、京都森田療法研究所の事務局は、主宰者気付けで機能を継続します。さらなる変更が生じれば、改めて報告します。
今後も京都を中心地としながらも、交流の輪を広げ、全国の方々と自由にやりとりする活動を継続したく思います。引き続き、お気楽にご意見やお便りなど頂き、ご交流、ご交誼をお願い申し上げます。
お便りお待ちしています。

通常のご連絡は、まずは「通信フォーム」からどうぞ。
なお、下記のアドレス宛てに直接メールを頂くこともできます。

 

institute@kyoto-morita.org

 

 

「森田正馬と森田療法」(拙稿)について

2021/09/11

メディカルレビュー社発行の「精神科臨床 Legato レガート」という雑誌があります。この雑誌の本年8月号(Vol.7/No.2)に、「森田正馬と森田療法」と題する拙稿を掲載して頂きました。「古典」という欄に収められたものですが、森田療法は古くて新しく生きているものです。この雑誌は、精神科の一般誌ですから、森田療法にあまりご関心がなかった先生方にも、関心を寄せていただけるようにと考えて、そんな語り口の文を書かせて頂きました。短い文章ですが、著作権はメディカルレビュー社に帰属しますので、このホームページを通じてお読み頂くことはできません。
別冊(抜き刷り)は多数手元にありますので、もしご関心の向きは、このホームページの通信欄からご一報下されば、お送りできます。

岸見勇美先生に―、散らない桜

2021/04/03


この桜は散りません


 
 

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  恥ずかしながら、私は何かにつけて、つい反応が遅れる困った人間です。嬉しいこと、悲しいこと、苦しいこと、内面では人一倍に感じ取りながら、反応を言動に表すのに時差が生じてしまうことがあります。精神科の仕事をしていた職業病的習い性もあるのかもしれませんが、いささか困ったものです。嬉しいときには、それを黙ってしみじみと感じるのです。もちろん相手には感謝の気持ちでいっぱいになりますが、行動的な表現が遅れたらいけないです。悲しいときはなおさらに、胸に秘め込んでしまいます。
 嬉しかった経験としては、もう数年も前に、拙著に対して、岸見勇美先生が、丁寧な書評を書いて送って下さったことがありました。森田療法の分野で著名な作家のあの岸見先生です。もちろん丁重にお礼は申し上げましたが、後から考えてみたら、頂いたそんな玉文を公的に出して皆様にお読み頂いてこそ、その文章が生かされたのだと気づきました。
 そんな鈍い頭で、今更ながら岸美先生から頂いた文章をここに皆様にご披露させて頂こうと思いつきました。
 岸美先生本当にありがとうございました。数年後の今、改めてお礼申し上げます。
 
 岸美先生の文章は、拙著『忘れられた森田療法』への書評です。
 以下にそれを出しますので、お読みいただけます。

 
 

 岸見先生の書評

謹賀新年(めでたくもあり、めでたくもなし)

2021/01/12




 

謹賀新年(めでたくもあり、めでたくもなし)


 
 新年のご挨拶が遅れました。
 謹賀新年、というわけですが、「正月や 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」と一休禅師が言ったように、新しい年が来たことを喜んでばかりはいられません。
 
 こんな複雑な正月がくることを誰が予期しえただろうか。いや、予期できたはずだ。
 オリンピックの開催予定期が近づいてもギリギリまで開催の中止を決めず、日本の歯車は狂い始めていた。コロナが少し下火になったら、GO TO キャンペーンだ、レッツ ゴー ゴー と日本中で軽躁状態になり、油断した結果が第三波の到来となった。グローバル化したこの時代、手ごわいウイルスのパンデミックを地球全体の危機として捉えねばならない。南米やアフリカではどうなっているのだろう。
 もちろんわが国はわが国で、政府、自治体、国民こぞっての自覚ある対応が必要だ。自粛、自粛と二言目には自粛を言っている意味が私には分からなかった。それを言うなら、自覚だろうと。
 ウイルスが猖獗を極める状況下で、多くの人たちが直接間接に対応に追われ、尽力しあっている。その中でも、ウイルスに直接立ち向かうという点で、とくに厳しい役割を担っているのは医療現場である。コロナの診療第一線では医療従事者が献身的な努力をしてくれている。しかし、中にはそれぞれの事情があり、限界もあって、後ろ髪を引かれながら辞めていく医師や看護師もいる。それでも辞めないで仕事を続けているある看護師さんが、テレビのインタビューで語っていたのを聴いた。コロナ診療のため病院は赤字になって、そのため私たちのボーナスは減る。それでも私たちは税金を納めている。ところが一方では、GO TO キャンペーンで国の経済援助で観光旅行に行き、そこでコロナに感染して帰ってくる人もいる。日夜働き、観光旅行どころではない私たちは、そんな感染者も含むコロナ患者さんたちの治療に従事し続けているのです、と。レッツゴーゴーの観光キャンペーンを思いついた政治家かお役人は、一体何を考えていたのだろう。
 私はGOと聴くと、郷ひろみさんを連想する。郷ひろみさんの郷はレッツゴーのゴーから取ったのだそうであるが、GO TO キャンペーンでは郷ひろみさんも苦笑していたことだろう。場当たり的な思いつきを自粛し、常に自覚が求められているのは、政治をあずかっている人たちである。
 日本では今、終末感が漂ってもおかしくない時節にいる。ところが私たちはそれを否認して、無関心になっている。恐ろしいのはその無関心である。だが、やがて無関心ではどうにも済まなくなり、不安や恐怖が蔓延すると、人々はカルト宗教に引き込まれかねない。カルト集団の人たちは私たちの身近にいる。これもまた、要注意である。
 今年は、コロナに関連する社会問題のひとつとして、そんな心理的危機も起こりうるのではないだろうか。

仲間を求めています

2020/12/28




 
 コロナに明け、コロナに暮れた今年も、問題を残して終わろうとしています。
 そのため当研究所の活動も、少し停滞しておりました。自粛しながらの活動は、それなりに続けてはいますが、来年はコロナの状況を見据えながら、無理なく、より有効な方法を探って、研究活動を刷新していく必要を感じています。
 狭義の研究も重要ですが、それだけにとどまらず、さらなる自由な活動に目を向けたいと思います。
 森田療法に多少とも関心をお持ちの方は、知恵を貸してください。また仲間として実動面でも協力して下さいませんか。
 お問い合わせの向きは、通信フォームから、どうぞ。

『森田療法と熊本五高』(単行本)について

2020/08/05




 
 『森田療法と熊本五高』の本は、藤瀬教授が森田正馬の旧制五高時代の下宿先をお調べになった結果についての論文をはじめ、比嘉先生の論文、岡本の論文、その他多くの関係者の原稿が掲載されています。
 
 本書はアマゾンで購入できますが、意外に高価です。
 本の残部は、熊本大学の藤瀬教授、比嘉千賀先生、そして岡本のところに若干保存されています。入手ご希望の方は、ホームページの通信フォームよりご連絡くだされば、送料は当方負担、代金後払いでお送りします。
 定価は税込1320円。

住所移転完了のお知らせ

2020/04/28


<住所移転完了のお知らせ>
 
 
 以前より京都駅八条口近くのマンションに居を定めていた京都森田療法研究所は、本年になって、事情により転居を余儀なくされました。そして、今度は、新たに京都駅正面側の駅近のマンションに居を移すことになりました。引っ越しは、年度変わりのあわただしい時期、それも見えないウィルスが猛威を振るいだしていっこうに収まりがつかない、折しもそんな時期に当たりました。
 研究所主宰者は、湖国に住んでいます。「淡海の海 夕波千鳥汝が鳴けば 情もしのに古おもほゆ」(柿本人麻呂)。その淡海のくにです。森田正馬は入院患者に万葉集を読ませたことがありました。森田療法は、初期には万葉集とのかかわりがあったのです。
 「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」(これは蝉丸、「後撰集」)。京都駅の駅裏から駅表側へ。不要不急ならざる引っ越しのために、緊急事態宣言を知るも知らぬも逢坂の関を何度も行き来しました。これやこの淡海のくにも京のみやこも、悲壮感が漂っている春です。
 
 もちろん単なる地域だけの問題ではありません。全国において、医療をはじめとする様々な分野で皆さまがたが献身的な努力をしてくださっている姿に、森田療法の実践を見ます。そのお蔭で、やがて日本に、世界に、収束の春がきますことを。
 
 こんな時期ですが、当研究所は、新住所への移転がようやく完了しましたので、ここにお知らせ申し上げます。
 研究所の新しい住所、新しい電話・FAX番号は、以下のとおりです。
 
 〒600-8208
 京都市下京区小稲荷町85-11
 京都高倉ビル 202号
 
 電話・FAX 075-708-6614
 
<注記>
 電話(兼ファクス)の番号が変わりました。
 メールアドレスは変わりません。
 新しい場所は、京都駅正面側から、徒歩5分です。活動を共にして下さるかたがたのお越しをお待ちします。ただし今しばらくは互いに自粛してひきこもらねばなりませんので、追って記事を発信する予定です。
 皆さまの方からのご連絡は、「通信フォーム」からいつでもどうぞ。
 

京都森田療法研究所

主宰者 岡本重慶

住所移転のお知らせ

2020/04/03


<住所移転のお知らせ>
 
 
 京都森田療法研究所は、4月中頃をメドに京都市内の別の住所に移転する予定です。
 現在移転準備に取りかかっています。ホームページに表示している従来の住所は現在もなお使用中ですが、電話だけは工事の都合上、すでに一時的に不通となっています。
 メールは、ホームページの「通信フォーム」から送信してくだされば、いつでも着信するので、読むことができます。
 
 ところで、京都方面でも、新型コロナウイルスの状況が、急速に深刻さを増してきました。自治体から既に行動の自粛が要請されています。それに伴い、荷物の引っ越し作業(4月上旬を予定)が、もし遅延した場合、転居は中~下旬へとずれ込む可能性もあります。
 
 ともあれ、引っ越しが完了すれば、その時点で新住所や新電話番号などを公表致します。
 
 ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
 

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