京都府の丹後ふるさと病院における、入院・外来森田療法の受け入れについての案内

2017/07/30

   去る5月7日、および5月12日の2度にわたり、ブログ欄において「丹後半島と、丹後ふるさと病院における森田療法の可能性」という記事を掲載し、丹後ふるさと病院で森田療法の入院・外来診療を受け入れる旨のアナウンスメントをしました。
   ここに改めてそのお知らせをします。丹後半島と丹後ふるさと病院における森田療法については、病院や地域の背景的な事情があります。それについては、先の5月7日、12日のブログ記事を参照願います。 



 
〔丹後ふるさと病院における、入院・外来森田療法について〕
 

   ①入院について 
   瀬古先生は、三聖病院の閉院前後以降の近年の森田療法事情を察して、丹後ふるさと病院の病棟の個室の一部を入院森田療法用に供してもよいと、寛大な提案をして下さったのだった。そのご厚情に深い感謝の念を抱いている。ただし、有り難いご提案を生かすためには、さまざまな問題をクリアしなければならない。 
   入院という形態を取るならば、行政の監督下で許容されるように条件を満たさねばならない。例えば院内において、入院患者の使役とみなされかねない作業は用意できないので、ご本人の臨機応変の気づきと動きを尊重して、治療者と相談しながら作業に従事してもらう。 
   入院は集団生活に意義があるが、ここで入院を受け入れる場合、最初はもちろん1人から始まり、人数が増えても数人までに制約される。 
   治療者の問題について。多忙な瀬古先生に丸投げすることなどできないので、入院の第1号の方が来られるなら、その時点から、岡本が森田療法用の嘱託医師にして頂いて、病院に赴く。  
   入院受け入れ対象者は、最初は「生活の発見会」会員様(全国)を考えたが、地理的な事情を考えると、入院希望者はない可能性もある。したがって、発見会員様に限るという条件は外す。 
   発見会協力医である必要はないが、森田療法に通じておられる医師の責任に基づく紹介状を必要とする。 
   保険診療を適用するが、個室料金は1日につき数千円を要する。瀬古先生は個室料は取らなくてもよい、とおっしゃるけれど、規定通りの室料を取ってしかるべきだと岡本は言っている。 
   病院の入院患者の疾患や年齢層の特徴として、病棟内には認知症の高齢者が多い。 
   本院で、入院森田療法を受け入れる場合、上記のような事情の中での入院となる。このような条件下での入院を、生きた体験ができると捉えて入院を志願されるかどうかは、人によるだろうと思う。だから、入院は特に関心をもつ人に向けてお勧めする。 
 
   ②丹後半島内に宿泊滞在して、病院に通院する方式 
   丹後ふるさと病院の森田療法医である瀬古先生との出会いと、丹後半島という地域への滞在を組み合わせる方法があるので、これについて記しておく。かつて森田正馬が自宅での入院療法を始める前に、患者さんを近隣に下宿させて、通院診療をおこなった。これと若干似ているが、趣旨は同じではない。森田の場合は、入院の形での診療を開業する前の、仮の方式だった。 
   しかし丹後半島内での宿泊滞在という提案は、いわば丹後半島全体を入院地とみなし、ここに自主入院して、この地で自由な行動をして、いろいろな体験をすることを重視する。宿泊先や行動のお膳立てはしないので、自主的に計画して頂きたい。宿はおそらく、民宿の比較的低料金のところを探すのがよいだろう。低料金の宿が見つかれば、病院の個室料金と大きくは変わらないであろう。地域で何をするか、何ができるかは、自身で考えてほしい。観光、ボランティア、アルバイト、歴史散歩、などなど。工夫をするのが森田療法である。 
   そして、丹後半島へでの滞在中、丹後ふるさと病院の瀬古先生の外来に通院なさるのがよい。瀬古先生は森田療法の講釈などなさらない。この先生は、人間が森田療法なのだから、会って何か感じるだけでいいのだ。 
   通院なさることが、あらかじめわかっていれば、岡本も病院に赴き、外来で会って、必要なら日記療法もさせてもらう。 
   病院に付設されて、特別養護老人ホームがあるので、関心があれば、入居している高齢者の方々のレクリエーションの中に入ってもらうこともできるだろう。 
   半島内で自由に充実した滞在期間を過ごし、その間、丹後ふるさと病院の外来診療をインテンシブに活用なさればよいと思う。 
   これが、丹後半島での「宿泊滞在・自主行動・外来通院方式の森田療法」のプランの概略であり、その体験の勧めである。 
   奇抜過ぎると言われるかもしれない。お膳立てをしないので、そっけないと思われるかもしれない。しかし、われわれはそこまでご用意できないし、用意をしてあげるのがよいとも思っていない。鋳型のような規則に従わせるのではなく、自由を重んじるのが森田療法だと思うのである。生きづらい人は、この地においでになるとよい。 
 
※1 もし質問があれば、ご本人自身が、このホームページの「通信フォーム」から、必須項目だけでなく、全項目にご記入の上で、送信なされば、答え得ることはお答えする。 
※2 入院希望については、当研究所を取次ぎ窓口とする。
※3 外来受診については、必ずしも事前の申し込みを要さない。