フランスのアルザスからの便り―コルマールのクリスマス―

2022/12/10

 

アルザスにある都市、コルマールの旧市街地。歴史ある木組みの建物が立ち並ぶ由緒ある地区である。年に一度、クリスマスのシーズンには、フランス国内、国外から多くの人たちが訪れて賑わいを見せる。(コルマール在住の知人、Nyl ERB女史から送られてきた短い動画画像)

 

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フランス人とはさまざまな付き合いをしてきたが、8年前にはフランス語圏国際精神医学会なる組織の学会を京都で開催してほしいと押し付けられて、責任者としてそれを引き受けた。ある種の災難で、大変な経験をしたけれど、海外からの来訪者たちに、折しも閉院を控えた三聖病院の見学をさせてあげることができた。日本人たちでなく、外国人たちが、森田療法のひとつの終焉に立ち会ったという、意外な出来事が起こったのだった。その時の数奇な縁で、新たに交流が始まったフランス人たちもいる。そのひとりにコルマール在住の精神分析家、ニル・エルブ Nyl ERB 女史がいて、この人とは現在も親密な交流が続いている。

 

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フランスの東端部のアルザス地方は、歴史的に独特の文化圏である。
わが国との関係では、幕末の開国により、日仏修好通商条約が仏政府との間に結ばれ、以後アルザス地方の特産品の繊維を求める関西の商人との取引が行われて、アルザスは日仏交流の地になった。
戦後には、日本の大企業がアルザスの地に誘致され、現地に駐在する日本人が増加し、また日本企業に勤務する現地のフランス人も増えた。そのためアルザスの地では、日本人と接し、日本文化を身近に感じるフランス人が多い。
コルマールという都市には、ルーツとして伝統的な文化があるが、その上で日本文化に親近感を持って、それを吸収するという、時空間を超えた文化の出会いと融合がある。
コルマールはフランスのオー=ラン県の県庁所在地の都市で行政的には地方の中心地だが、旧市街地には中世の趣を残す木組みの建物が残されている。日本のスタジオジブリが制作したアニメ映画の『ハウルの動く城』の冒頭に描かれた町並みは、この旧市街地にロケハンしたものであった。町には運河も通っていて、その界隈は、小ベニスと言われる。旧市街地を中心に、コルマールはお伽話のような雰囲気のある町である。

 

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ニル・エルブ Nyl ERB 女史は、精神分析家で、とても親日な人である。森田療法への関心も強い。8年前に京都での学会に来た後、4年前に高知で森田正馬没後80年記念祭があった年、独自に日本にやってきた。とにかく熱心な人であるが、彼女の紹介は機会を改めてできる。まあ、お伽話の中から出てきたような人なのである。

 

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ここまでつい長い前置きを記してしまった。
最近ニル・エルブ女史から、「コルマールのクリスマス」の写真が何点か送られてきた。今回はその画像を、皆様にもご覧頂こうと思って、以下にそれらを掲載する。
写真はいずれも、クリスマスの季節にコルマールのマルシェ(売り出し市)の店頭に並べられた、「創作」美術工芸作品の数々。

 

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まずは創作クリスマスケーキ。もちろん食べられる。

 

これも食べられる。

 

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以下4点、「楽焼き」のシリーズ。作品①。作者は日本に来て楽焼きを学んだ人なのであろうか。日本の楽焼きとおよそ異なるものになっている。

 


「楽焼き」シリーズ②

 


「楽焼き」シリーズ③

 


「楽焼き」シリーズ④

 

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創作作品

 

創作作品

 


創作作品

 

 

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虫やトンボなどの作者作品 ①

 


虫やトンボなどの作者作品②

 

 


虫やトンボなどの作者作品③。店の奥に作者の女性の姿が見える。

 


虫やトンボなどの作者作品④

 

 

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古い歴史の町、コルマールには、モダンアートの小さな店が立ち並んでいる地区がある。クリスマスを控えて通りに人が溢れる中、ニル・エルブ女史は店々に展示されているそんな作品群を写真に撮って、送信してくれた。
12月になると、国内からはもちろん、オランダ、ドイツ、スイス、イタリアなど外国から、イリュミネーションで美しさが際立つ町の景観と、有名なクリスマス市(いち)を目当てに、人々がバスでコルマールに押し寄せる。日本人旅行客も多い。市営の大駐車場には、数十台のバスがとめられている。
ニル・エルブ女史は、この時期の混雑が過ぎてから、また写真を添えてコルマールの紹介をし直すと言ってくれた。

 

 

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家々もイリュミネーシで飾られていて、長い夜の闇の中、見渡す限り、神秘的な光模様が見える。